未来予測、読み物としては良し – 書評 – その数学が戦略を決める

書評 | 日曜日 5月 31 2009 12:16 PM | コメント (1) Tags:

読み物として、統計が直感を売り物にする専門家をぶっとばすストーリー性がすかっとした気分にさせてくれる。

ただ、あまりにも現時点での統計学が持ち上げられ過ぎている。
現実世界を科学的に分析する際には、統計学の知識もさることながら分析対象のフレームに関する知識が必要。
実際、今日のデータマイニングを発展させたのは学者ではなく、現場を知るマーケティング担当者だし。
テーマ毎に関する専門性に関しても言及はされているが、少ないしフェアな書かれ方ではない。
「絶対計算は正しく運用される限り専門家をいつでも凌駕する」と主張しているが、現段階ではそこまででもないだろう。

ただし、未来、私たちが実現しようとする社会では間違いなくそれ以上にコンピュータの意思決定がなされるはず。
そういう意味で、データ解析の様々な成功例は読み応えがあった。
未来に向けた本だと思う。

あと非本質的な話だけど、統計的思考を叩き込まれている娘アンナとのやりとりはおかしい。

イアン「スリーピングジャイアント登山路を何回登った?」
アンナ「六回」
イアン「その推計の標準偏差はいくつ?」
アンナ「二回…さっきの平均値を八回に訂正したいんだけど」

筆者の説明は以下。
標準偏差というのは、「±標準偏差×2の中に95%の試行が入る」ということ。
なので、はじめの予想「登ったのが六回で、標準偏差が二回」ということは二〜十回の確率95%ということ。
アンナは明らかに二回以上は登っていると気付き、幅が四〜十二回となる八回に訂正した。
これこそ「直感でなく、数学の勝利だ!」

「おかしい」と思う理由。
標準偏差は正規分布(左右対称)を前提としているが、アンナが山に登った数の予測値は正規分布より右側に付置されるから。
直感的に分かるように、もう少し例を極端にしてみる。
アンナが始めに四回と予想し、標準偏差を二回としたとする。
つまりゼロ〜八回となる確率が95%ということ。
イアンは答えを知っている。
答えが「八回」だったら、あまり良い予想とはいえないが、まぁ間違いではないだろう。
しかし、答えが「ゼロ回」だったら「おいおい」となる。
「一度も登ったことがないのに、四回とか標準偏差が二回とか言ってる」と。
このように、このケースでは実際の登山回数が予想よりも左側にふれることは考えにくい。

書評というかメモ – 書評 – テクノロジストの条件

書評 | 土曜日 5月 23 2009 4:00 PM | コメント (0)

P241、現代社会が必要としている人間として、「理系のわかる文系」をあげています。
具体的には
「専門分野や方法論しかわからない人ではなく、知識を仕事に適用できる人」
「新しい知識を生み出す人だけでなく、新しい知識を日常の活動に適用できる人」
のことです。
マネジメントとマーケティング能力のことで、ジョブスとか夏野さんとかがまさにそのタイプではないか、と。

shi3zさんによるハッカーのライフスタイルでいえば、
「ビジョナリータイプ:技術理解を武器に、コンセプトを決定し、自分は動かず人を働かせる」
でしょうね。

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以下このエントリーの最後まで、あとで内容を思い出す用のメモ。

「技術とは仕事に関わることだ」という、ドラッカーらしいアウトプット重視の命題を中心に立体的な理論を構築しています。
その命題が意味するところは
「道具としての技術自信、工程、製品の研究には意味がないんだよ」
「大切なのは技術が経済を、社会を、人間の価値観をどう変えたかだよ」
ということです。

まず技術革命の歴史をたどると、以下のようなものが挙げられます。

  • 灌漑革命
  • 印刷革命
  • 産業革命

これら過去の革命から学べることが2点あります。

一点目は「技術革命が、社会を規定する」ということです。
例えば現代社会の元になる統治機構や階層が出来たのは、余剰を生んだ7000年前の灌漑革命が始まりです。
産業革命によって家が職場でなくなったことが、現在に至る家族の崩壊を引き起こしました。

二点目は「技術革命の第一段階は『既存の事業の置き換え』で、第二段階が『全く新しい事業の創出』」ということです。
印刷革命の始めに印刷されたのは、それまで修道士が筆者していた宗教所や古文書でした。
後にマキャヴェリが「君主論」を書いたり、文学、歴史など新ジャンルの本が出ることになりました。
産業革命の始めの50年間で成し遂げられたことは基本的に綿繊維など、産業革命前からあった産業に蒸気機関を持ち込んだだけでした。
その後世界を一変させたのは、鉄道です。

以上の一般的な技術革命論を踏まえた上で、
「じゃあ今回のIT革命に対してはどう対処すればいいの?」
という話になります。
曰く「今日までのところIT革命は、IT革命前から存在したいたもののプロセスをルーティン化したに過ぎない」です。
給与計算とか教育用ソフトウェアがそれに当たります。
では産業革命における鉄道は何か、というと
「eコマースという距離を無効化する流通チャンネルである
(だが、eコマースでの売買に何が適しているかは明らかではない)」と。

アメリカで最も急激に伸びているeコマースは、経営管理者や専門家の求人情報という新しい労働市場です。
この例がeコマースの影響について我々に教えることは、新しい流通チャンネルが経済全体を変えます。
具体的には以下のようなものです。

  • 顧客が誰で、いかにして、何を買うか
  • 消費者行動、貯蓄パターン
  • 産業構造

マネジメント目線でIT革命によって出来る知識中心の社会を見ます。
20Cにテイラーの科学的管理方法によって50倍に上がった肉体労働の生産性に比べると、
21Cの知識労働の生産性は一切変わっていません。
知識労働の生産性を向上する6つの条件は以下のようになります。

  1. 仕事の目的を考える
  2. 働く者自信が生産性向上の責任を担う
  3. 継続してイノベーションを行う
  4. 自ら継続して学び、人に教える
  5. 生産性が量より質であると認識する
  6. 組織にとってコストでなく資産であることを理解する

ではIT技術自体をどうマネジメントするか。
一言で言えば「予期し、計画し、行動しろ」ということになります。
予期…未来に関して正しい見解をもつことは不可能なので、予期というよりも観測が大事
計画…専門化が高まり自給自足は不可なので、何をどの段階で導入するかを検討する
行動…物事を新しい方法で行うことで、資源のもつ富の創出能力を増大させる

ニート、フリーターを武器に、ゲームのデバック業界でトップシェア – デジタルハーツ

その他ビジネス | 金曜日 5月 22 2009 4:49 PM | コメント (0)

我が心理統計ゼミの院生で、起業家が講演をする授業のアシスタントをしている先輩が感動して教えてくれた会社、株式会社デジタルハーツ

業務内容はゲームのデバックということで、「なんだ、ただの下請けか」と思いましたが、話を聞き、調べてみて「上手いところに目をつけたなぁ」と納得してしまいました。

IR資料も参考にしながら紹介。

市場もさることながら、強みが面白いです。

市場環境:
製品のコンピュータ制御化でデバックの重要性は増すが、企業は固定費を計上したくないのでアウトソーシングしたい

強み:
実績の蓄積、即戦力となる人材確保、厳格なセキュリティ体制

強みの実績に関しては、「MicroSoftの専門チームと競って、5倍のデバックを見つけたらしい」(先輩談)です。
なぜクオリティが高いかといえば「ゲーム好きの若者を集めるから」。
特にフリーター、ニートといった人達の能力は半端でないそうで、「匂いでバグが出そうなところが分かる」そうです。
フリーター雇用で企業に10万円の助成金は出るし、質の高い働き手はまだまだたくさんいる。
ほぼ競合がおらず、国内市場を制圧。
さらに海外にも展開しているそうです。

ヒエラルキーと他人事 – 書評 – 今日、ホームレスになった

書評 | 金曜日 5月 15 2009 5:52 PM | コメント (0)

私の好きなコンビニ五百円本シリーズの一。
高校中退の若者から元外資系トレーダー、元経営者まで現役ホームレスのインタビュー集。

コンビニ五百円本ってバカにされがちですが、尖った企画が多く、つい買ってしまいます。
その前にハードカバーで内容ペラッペラの起業家自伝を読んでおり、製本といい人生の勝負といい対照的ながら遥かにホームレスの方が深みがあると感じました。

山谷の調査をしている中のP126で

日雇い労働者の街でも稼げる者と稼げない者がいる。稼ぎがあって屋根のあるところで暮らせる人はそうでない人を侮蔑している。悲しいがこれが現実である。

というのがあります。

これは

本書に書かれていることは他人事ではない

という帯の言葉とある意味反しますね。

どこにでもヒエラルキーを作り出し下層の人を自分の未来だと考えないのは、人間の性なのかも知れません。

他にも見所たくさんでした。

カカクコムの内定を承諾しました

雑記 | 金曜日 5月 15 2009 5:22 PM | コメント (0)

ということで2010年度、株式会社カカクコムに入社することが決まりました。

良いように就職活動の振り返りなどを書くのも、ベタでダサイので書きません。

関わって頂いた皆さんありがとうございました。
そしてこれからもよろしくお願いします。

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