“差別化”につきる – マードック氏がGoogleのインデクスを拒否すると聞いて考えたこと

IT,インターネット | 月曜日 11月 16 2009 2:07 PM | コメント (2) Tags: , ,

メディア王MurdochがGoogleをやっつけてネット上の権力を検索から奪い取る方法

このTCの記事がすごく面白かったので、考察してみます。

前後の事情も含めた記事要約

新聞とか雑誌をメインにするメディア大手のニューズコーポレーションという会社があり、タイムズとかウォールストリート・ジャーナルといったニュースサイトを運営しています。
IT化の波に伴い、それらのメディアは苦境に立たされています。

そこで会長のルパート・マードック氏がGoogleのインデクスを拒否して、サイトを有料化しようとしています。

この件に関して、MahaloのCEO Jason Calacanisが述べたところによれば

MurdochはGoogleによるインデクシングを拒絶するだけでなく、Bingに有料で独占的にインデクシングさせるべきだ

そうすることで、Googleが苦境に立つだけでなく、

これまで検索エンジン側にあまりにも偏っていた‘ネット権力’みたいなものが、コンテンツサイト側にもやや、もしくは大幅に、傾くことになる

検索エンジンの現状

これは十分有り得るシナリオだと思います。

というのはよく言われていることですが、検索エンジンの「精度」「スピード」といった質的な観点では既にGoogle以外でも満足いくレベルのものを提供しています。

じゃあGoogleが使われ続けている理由は何かというと、「慣れ」「ブランド」「Gmailなど他のサービス」など色々言えると思いますが、端的に言えば

両者のサービスの品質が優劣つけがたいということになると、戦う前からGoogleの勝利は確定したようなものだ。

検索エンジン対決―Bing vs. Googleを実例で比較してみた

ということだと思います。
つまり「乗り換えるべき理由がみあたらないから、使い続ける」ということです。

コンテンツの逆襲

では本当に検索エンジンを乗り換えるべき理由はないのか。
「コンテンツ」という要素があります。

それはTwitterがBing、Googleにフィードを売った(無料じゃない!)ことでも分かりますし、さらに遡ると韓国NaverがUGCでGoogleを寄せ付けないこともそうです。

コンテンツの有無が、検索エンジンの競争要因になる。
そうなればパワーバランスがコンテンツ側に傾くのは、当然のことです。

重要なのは“差別化”

メディア企業の「人々にメディアを渇望させる能力」は、インターネット(Apple)によって打ち砕かれた。
それはメディアビジネスの利益の源泉であったが、完膚なきまでに破壊された。


インターネットはメディアの稀少性を作り出すこの能力…流通チャネルを自分で持ちそれらを狭くコントロールする行為…を破壊する。それどころか、それはあまりにも大々的な破壊なので、メディア企業が利益を得るためのもっとも基本的な仕組みが危機にさらされているといえる。

(原文)
The internet disrupts this ability to create media scarcity. It is such a huge disruption, in fact, that it threatens the fundamental profit engine of the media business.

For The Future Of The Media Industry, Look In The App Store

コメント欄で頂いた、より良い訳を載せました。感謝。)

この主張は本質をついていると感じましたが、さらにいえばなぜコンテンツがAppleによって安価に横並びにされているかというと、「差別化できていない」の一言につきます。

高価だろうが、アクセスが面倒だろうが、「価値があって、他にないもの」に人はお金を払います。
と、いうか嫌々でもお金を払わざるを得ません。
それしかないので。

そんなにオリジナルで価値があるものは中々ありませんが。

そしてライバルが存在し、差別化要因がないと横並びにされ立場が弱くなるのは、コンテンツだけではありません。
検索エンジンだろうがプラットフォームだろうが同じことです。

マードック氏の記事を読んで、そんなことを考えました。

追記

こんな記事もありました。
Microsoftは新聞社に対Google戦争の軍用金を支援してBingの味方にするつもり

2件のコメント »

  1. コメント by Hiroshi Iwatani — 2009/11/16 @ 7:24 PM

    われわれが、あまりの長文ゆえに訳をスルーした、良い記事に着目されたことを、感謝します。

    scarcityは、ふつうに、経済用語としての「稀少性」と訳したほうが、意味の明確さと強力さが損なわれない、と私は感じます

    [試訳]
    >>>インターネットはメディアの稀少性を作り出すこの能力…流通チャネルを自分で持ちそれらを狭くコントロールする行為…を破壊する。それどころか、それはあまりにも大々的な破壊なので、メディア企業が利益を得るためのもっとも基本的な仕組みが危機にさらされているといえる。<<<

    なお、本記事のいちばん重要な部分は、最後の、
    Sell access and experiences, not media files.
    でしょうね。旧メディア企業…おじさん的人びと…にとっては、難しい課題ですが。

  2. コメント by chinneng — 2009/11/16 @ 8:45 PM

    >Hiroshi Iwatani さん

    コメントありがとうございます。

    適切に訳して頂き、恐縮です。感謝して使わせて頂きます。
    私の浅薄な知識を恥ずかしく思います。

    あの旧メディア企業とAppleの記事は、本当に素晴らしいと思いました。
    私が知らないことを教えてくれました。

    >> Sell access and experiences, not media files.
    というのが効果的なのは、「難易度が高くて真似されにくいので、差別化要素になる」ということではないかと思います。

    そう考えると「難しいことをしろ」というかなり無茶な主張であるかのようにも感じます。

RSS feed. TrackBack URI

コメントをどうぞ

Spam Protection by WP-SpamFree